IBM 奇跡の“ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる
概要
Jeopardy!にチャレンジする機械。というので立ち上がったこのプロジェクトに関して
幾多の考えや、手法を乗り越えてチャレンジ、成功までの軌跡を描く。
外から、この研究所の成果や現状を離しながら4年余りの記録を描いている。
IBM 奇跡の“ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる | |
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概要
Jeopardy!にチャレンジする機械。というので立ち上がったこのプロジェクトに関して
幾多の考えや、手法を乗り越えてチャレンジ、成功までの軌跡を描く。
外から、この研究所の成果や現状を離しながら4年余りの記録を描いている。
ターゲット
いわゆるノンフィクションなので、ストーリに沿って前提も無くても読めると言う
ところが面白い。
Jeopardy!は、ある程度、この問題形式を知っているのであれば、本書の解説する
内容で、あ、この番組かと思いつくのではないかと思う。そもそも番組の経緯自体が
クイズの荒波にもまれてきたとは、面白いが確かに背景を考えるとつながってくる。
勘所
コンピューターに自然言語なんてという、ところのこのチャレンジ精神は見ならい
たい。会議手法の変遷や、変わっていく様子を見ていて、人間的な部分があってこそ
のコンピューターがひかるもんだなぁと考えさせられた。
本書から
反復作業を必死でこなすワトソンを見ていると、なんだか自信がなそそうに映る。
あまりの常識のなさについ笑いたくなり、コンピュータ資源の無駄遣いにあきれ返る。
そう、ワトソンの得意は、虱潰しだ。すべての手がかりをひとつ残らず調べ上げる。
チュー・キャロルの決断は早かった。小説でも戯曲でも、交響曲でもホームコメディー
でも、ジョパディマシンはそれを深く知る必要がない、と結論した。それ自体をを知るこ
とより、それについて知っている方が重要だ。マシンは文学部の学生ではない。
<中略>
結論は明らかだ。広く浅くで良い。IBMチームに必要なのは天才ではなく、何にでも広く浅
く手を伸ばすディレッタントだ。
ただ、いくつもの欠点はあるにせよ、ワトソンにはだれも無視できない一つの能力がある。
それは『ジョパディ』で強いということだ。
本書から得られる点
答えを得るのは、この方法でいいのだろうかと考えること。それが自分には強く感じ
られた。
一見、ことばを理解して、回答しているように感じられるが実体は違う。辞書を持ち単語
を引き当てる能力を強化すること。最も適正のあるアルゴリズムを組み立てることによって
回答することが最も細則なのだと考えさせることなのだと思う。
ちょっと哲学的だけど
これを知っているかどうかの違いは、大きい。
人工知能の定義は、いまだあいまいだ。でも、これは一つの解放でもあると思える。
前に「コンピューターが仕事を奪う」という本を読んだけど、コンピュータが処理する圧倒
的なパワーの波には、もはや人は勝てない。
すでに人自身が、その単機能の前では過去遺物なのだ。特定に特化して選択する技術はコン
ピューターの高速化と、ベースの基盤が成り立ってしまっている。要はどうやらせるかが人
の介在する機会なのだと言うことを改めて考えさせられた。
あと、プロジェクトマネジャーは胃が強くないとなぁと思わざるを得ない。
それから、プロジェクトには始まりがあって、終わりがあることも。終わりの下りで、
ちょっと涙してしまった。
コンピュータが仕事を奪う | |
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